大判例

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大阪地方裁判所 昭和24年(ワ)1786号 判決

原告 株式会社大阪銀行

被告 大森武徳

一、主  文

被告が訴外矢倉辰三に対する公証人加古哲太郎作成の更第一四九八号公正証書の執行力ある正本に基き昭和二十四年九月十日別紙物件目録<省略>記載の物件について爲した強制執行はこれを許さない。

訴訟費用は被告の負担とする。

当裁判所が昭和二十四年九月十六日に爲した強制執行停止決定はこれを認可する。

前項に限り仮に執行することができる。

二、事  実

原告訴訟代理人は主文第一、二項同旨の判決を求め、その請求原因として、被告は訴外矢倉辰三に対する主文第一項記載の債務名義に基き昭和二十四年九月十日別紙物件目録記載の物件に対し強制執行を爲した。然しながら原告銀行は昭和二十三年十二月十四日訴外矢倉辰三及び日産電気工業株式会社との間に極度額を百万円として銀行取引を爲すことを約し現在及び將來取引上生ずる一切の債務を担保するため矢倉辰三から同人所有の大阪市東住吉区山坂町四丁目八十二番地の一宅地百八坪一合九勺及び同地上家屋番号第一七三番の二及び同町第一七三番の三の建物と右建物に附属する表裏戸締雪隠給水装置諸木石類内部外部の造作物從物等の上に根抵当権の設定を受け昭和二十四年三月十七日これが登記手続を完了した。そして被告が今回強制執行を爲した別紙物件目録記載の物件は前記建物の造作物又は從物であつて原告の有する根抵当権の範囲内の物件であるから民事訴訟法第五百四十九條に基き被告の爲した強制執行の排除を求めるため本訴に及んだと陳述した。<立証省略>

被告訴訟代理人は原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告(答弁書に被告とあるのは原告の誤記と認める)の負担とするとの判決を求め、答弁として、被告が原告主張の債務名義に基き訴外矢倉辰三に対する強制執行として原告主張の日時別紙物件目録記載の物件について強制執行を爲したことは爭はない。然しながら別紙物件目録記載の物件は原告主張の建物の從物又は附属物件にあらず、仮りに右建物の從物又は附属物件であるとしても債務者たる矢倉辰三は右物件に根抵当権を設定したことがないから原告主張の根抵当権設定契約の内容を爭う。從つて別紙物件目録記載の物件についても根抵当権を設定したことを前提とする原告の本訴請求は失当であると陳述した。<立証省略>

三、理  由

被告が原告主張の債務名義に基き訴外矢倉辰三に対する強制執行として原告主張の日時別紙物件目録記載の物件について差押を爲したことは当事者間に爭がない。

そして証人矢倉辰三、西尾忠夫の証言及び官署作成部分について成立に爭がなくその他の部分も右証言によつて成立を認め得る甲第二号証成立に爭のない甲第三号証によれば原告銀行は昭和二十三年十二月十四日訴外日産電気工業株式会社及び矢倉辰三との間に右両名が原告銀行に対し昭和二十六年三月三十一日迄の間に銀行取引によつて生ずる現在及び將來の一切の債務を担保するため金百万円を限度とし矢倉辰三は同人所有の大阪市東住吉区山坂町四丁目八十二番地の一宅地百八坪一合九勺及び右地上家屋番号同町第一七三番の二第一号木造瓦葺二階建住宅一棟建坪十六坪七合四勺二階坪七坪四合六勺同所同番地上家屋番号同町第一七三番の三第二号木造瓦葺平家建居宅一棟建坪十坪八合八勺、右建物に附属する表裏戸締雪隠給水装置諸木石類内部の造作物等総て一切現在有姿の儘に順位第一番の根抵当権の設定を爲す旨約定し昭和二十四年三月十七日右根抵当権設定登記手続を爲したこと、別紙物件目録記載の物件は右建物に備付けられ又は右建物の常用に供する爲附属せしめられた疊建具その他のものであつて、右建物の從物であり右根抵当権設定契約によつて根抵当物件の範囲内に包含せしめられたものであることが認められる。そして民事訴訟法第五百四十九條に所謂強制執行の目的物の讓渡若は引渡を妨ぐる権利には根抵当権をも包含するものと解すべきものであるから原告銀行は同條に基き別紙物件目録記載の物件に対してなされた強制執行の排除を求め得るものと謂はなければならない。蓋し本件根抵当権は前記建物及びその從物としてこれに附属せしめられた別紙物件目録記載の物件を結合した全体について設定せられたものであり、被告が本件物件について爲した強制執行はこの結合された全体を破壊せんとするものであつて原告銀行の有する根抵当権の侵害に外ならないから原告銀行はこの妨害排除の一方法として民事訴訟法第五百四十九條により被告の爲した強制執行の排除を求め得るものと解すべきであるからである。

然らば原告銀行が根抵当権に基き別紙物件目録記載の物について爲された強制執行の排除を求める本訴請求は正当であるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九條、強制執行停止決定の認可及び仮執行の宣言について同法第五百四十九條、第五百四十八條を適用し主文の通り判決する。

(裁判官 岩口守夫)

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